顧客管理

 ■顧客が本当に知りたい商品情報
営業マンは、自社で販売する商品やサービスについて、十分な知識を持っていなければな
   らない。
   これは当然のことのようだが、以外に徹底できないケースが多く見受けられます。
   顧客から商品について質問を受けた時、答えられなかったり、あるいはあいまいにしか答
   えられなかった場合、顧客は大きな不信感を持ちます。
   商品はよくても、営業マンがそれを上手に顧客に伝えられなければ、成約は見込めません。

   しかし、知識だけをやみくもに詰め込めばいいというものでもありません。
   商品やサービスを購入する理由は、顧客側の事情によってさまざまです。
   例えば、スーツケースを購入した時、顧客の一人は「頑丈さ」で選びもう一人は「大きさ」で
   選ぶ、というように、その決めてとなるポイントは顧客によって異なっています。
   この時、「頑丈な」スーツケースを求めている顧客に、「物がたくさん入ります」と説明しても
   何の効果もありません。

   営業マンは、「頑丈だ」「物がたくさん入る」という情報を知識として持ち、顧客のニーズに
   応じて的確な商品説明を行わなければならないのです。
   断片的な商品知識は役に立ちません。
   また、営業マンが商品を売り込む時、パンフレットなどの販売用資料を使うはずです。

   商談時に、パンフレットに書いてあることをくどくどと説明しても、効果的とは言えません。
   さらに、顧客は競合する複数の会社の営業マンに話を聞いているはずですから、場合に
   よっては、営業マンよりも多くの知識を持っているかもしれません。
   そうした顧客が本当に喜ぶ情報とは、何でしょうか。

   それは、パンフレットには載っていない生の情報、つまり「この商品を他社ではどう活用し
   ているか」ということなのです。
   営業マンは自分の足でこうした生きた情報を収集し、顧客に提供しなければなりません。
   その積み重ねで、初めて「この営業マンの言うことなら信用できる」という顧客からの信頼
   を得ることができるのです。

  □商品の情報を分析(フォーマット
   (1)競合商品との比較
     顧客が物を購入する時、1社の商品だけについて検討するということはまずあり
     得ません。
     必ず、競合する他社商品と価格、性能、安全性、デザインなどを比較検討するは
     ずです。
     このため、営業マンは自社商品だけではなく、他社商品についてもある程度の知
     識をもち、自分なりに比較、評価することが重要です。

     そこで、「競合商品」の欄では、他社商品のデータと特長、セールスポイントを調査
     して記入します。
     また「商品力比較」の欄では、品質、価格、知名度などについて、自社商品と他社
     商品を比較評価してください。
     評価の方法は10点満点で点数をつけても、1~5の5段階評価でもよいでしょう。
   (2)自社商品の強み、弱みの確認
  
   (1)で評価、分析したデータをもとに、他社商品と比べた自社商品の強み、弱みを
     書き込みます。
     この情報分析の狙いのひとつは、単に自社商品についての知識を深めるだけで
     はなく、他社商品と比較することで、より具体的に自社商品のメリットを説明できる
     ようにすることです。
     ですから、単なる商品知識のメモとしてではなく、顧客に説明するつもりで「〇〇社
     商品と比べてどこが違うのか」という視点からか考えて記入してください。
   (3)自社商品活用事例の記入
     この項目は、実際に自社商品を購入し、使用している顧客のもとへ行き、生の意
     見を集めて記入してください。
     その時に注意するべき点は、「常に新しい事例を探しておくこと」「売り込みたい得
     意先と同じような規模、業種の企業事例を探すこと」、の2点です。
     次々と新商品が登場する時代ですから、情報はすぐに陳腐化します。 
     また、会社の規模、環境が違えば、商品の扱い方もまったく違ってくるものです。

     記入の方法は、「この商品を導入したことで、仕事の状況がどう変わったか」に
     ついて、導入前と導入後を比較して書き込むことが必要です。
     ただ単に「A社さんでは、こんなふうに使っていただいています」というよりも、「A
     社さんではこういう問題があったのですが、この商品を導入していただき、こうい
     うメリットが出ています」というように具体的な効果を記入します。
     このほうが、顧客に役立つ情報になりますし、説得力が増します。
   (4)商品知識、情報をどう生かすか
     せっかくの商品知識も、実際の活動で生かせなければ宝の持ち腐れです。
     顧客ごとのニーズにあわせて、どういった情報を提供していくべきかを検討してく
     ださい。
     詳しい商品知識を身につけるには、まずカタログを読み込むことです。
     そして、情報を持っている社内の担当者に直接聞くことです。
     また、顧客からの質問で答えられないものがあれば、必ずその日のうちに社内で
     確認して返答します。
    ■顧客のニーズをキャッチ
   (1) 固定客づくり
     シェア・アップ戦略を成功させるカギは得意先が顧客(エンドユーザー)をいかに吸引
     してくれるかという、得意先の自社に対する「協力度」
     や得意先自体の「販売競争力」にあります。
     つまり、インストア・シェア(特定の取引先にお
     ける契約全体のうち、自社が占める割合)を、
     どう高めて行くかが重要となるのです。
     そのためには、得意先との強力な連携と密着をはかり、固定取引先として、インストア・シェ
     アの充実を図り、顧客情報を蓄積し、管理して活用していきます。

   (2) ニーズキャッチ
     顧客に対して、いくら約束を守り定期訪問をしていても、
     それだけでは真の固定客にはなり得ません。
     真の固定客化をはかるには、約束を守り、定期訪問をすることにプラスして、常に変
     化していく顧客のニーズをさぐり、今一番顧客の困っていることは何かを的確につか
     み、それを満足させ得るように対応していくことが必要となります。
     さらに、これらの情報を顧客情報として収集・管理・活用することも忘れてはなりません。

     そうした顧客のニーズが価格・品質・サービスなどのどこにあるか、的確なニーズキャ
     ッチによって、先手をとった時、信頼が生まれ、より強固な顧客との密着化がはかれ、
     真の固定客になってもらえるのです。
     「分からないことは、お客に聞いてみよ」、常に顧客の困っているこに耳を傾けるこ
     とが、真の固定客をつくりあげ、業績安定基盤をつくっていくキメ手となります。

   顧客密着を促進するためには、その顧客との現在と過去のつながりの深さが一つのキー
   ファクターとなります。
   つながりの深さを保つには、その顧客と自社との過去の歴史を、会社、セールスマン自身
   がよく認識し、そのつながりの深さをうまく活用したセールス活動をすることが効果的とな
   ります。
   そのためにも顧客情報の収集、管理、活用が欠かせないのです。

        情報をもつものが力を持つ。(P.F.ドラッカー)

               
               顧客情報の収集と活用 

  営業マンにとって、「情報」が重要なものであることは言うまでもありません。
  しかし、どのような情報を集め、どう活用したらいいのか、きっちりと整理(情報整理フォー
  マット)できている営業マンはあまり多くないようです。
  頭では「情報は重要だ」とわかっていても、実際に顧客情報を収集しそれを管理・活用
  できる営業マンが少ないということは、裏を返せば、それができればライバルに大きく差
  をつけられるということです。

  まさに「情報を制する者は営業を制す」といったところでしょうか。
  常に問題意識を持ち、「それを解決するにはどんな情報が必要なのか」ということを考え
  続けておくことです。
  例えば、得意先から「おたくの商品はB社の商品と比較して、どこがどう優れているのか説
  明してくれ」と言われたとします。
  その場合、自社商品と他社商品のパンフレットを並べてその違いを説明するようでは失格
  です。
  なぜならパンフレットに載っているような情報は既に顧客も持っているケースが多く、顧客に
  とっては何の価値もないのです。

  では、常に問題意識を持っている営業マンの場合はどうでしょう。
  偶然訪問した先が、ライバル会社の商品を使っていたとします。
  その営業マンは自然に、その商品の使い勝手、良い点・悪い点について、生の声を聞き出そうと、
   情報収集するはずです。
  そして、それを整理し、情報としてストックしておくでしょう。
  これはパンフレットなどからはわからないユーザーの生の声です。
  こうした情報は、顧客にとってみれば本当に役立つ情報となるのです。

  このように、常に問題意識をもっていれば、これまで、見逃していた貴重な顧客情報をしっ
  かりとキャッチすることができるようになるはずです。
  顧客情報はただ多く集めればいいというわけではなく、大切なことは早く」「正確」な情報
  を収集
することです。
  そして何よりもそれを「活用(生かす)」ことです。
  そのためには、収集した情報、知識を整理して理解を深め、ストックしておくとともに、営業
  マン個人だけではなく、組織の財産として共有化、活用ナレッジマネジメントを図り、
  経営向上につなげていきます。
   
       営業の標準化に欠かせない顧客情報の収集と管理

           新規開拓、既存客への単価アップ、顧客の流出防止に

           欠かせない顧客情報の収集と管理(データベース)

  収集した顧客情報を有効活用するために整理しましょう。

  ■顧客情報の入手先と手段
   営業活動中になんらかの情報を入手したら、個人用と法人用それぞれのシートに記入
   して整理をします。
   まず、どこから情報を入手したのか、その相手先と入手手段を記入します。
   情報の入手手段が面談によるのか電話か、または文書での連絡を受けたのかを書き
   込みます。

  ■情報内容と入手状況
   入手した情報を具体的に書き込みますが、そのときに注意する点は、誤解が起こらな
   いよう、推測(~のようだ)と事実(~である)をはっきりと示すことです。
   確認できない事柄については、憶測を避け、事実を書き込むようにします。
   また、「だれ」から「どこ」で得た情報なのか、またその時の「状況」はどうだったのかを
   正確に記入します。
   特に「状況」については、情報の信ぴょう性に関わってきますのでできるだけ正確に書き
   込みましょう。 

   お客様の「管理」「囲い込み」「保全」「信頼関件の発展」とは、具体的な行動としては、何を
  することでしょう。
  もちろん通常あなたが行うべき基本的な業務を実行することは、もちろんですが、  
  具体的には以下の3点の実行です。
  「顧客管理」とはお客様に対する
   *クロスセリング(その商品に関連する商品を薦める)の実行
   *アップセリング(その商品より高額、上位品を薦める)の実行
   *リレーションシップ・マーケティング(顧客との良好な関係)の実行

  ■お客様との接点を増やす
    お客様とどのくらい接点がありますか?大多数のお客様とは1回の商取引だけで、お
   客様の顔を思い出せないなんてことはないですか?
     あなたのすべきことは、お客様から情報の収集、そしてお客様への情報の提供です。
     すなわち、この情報交換作業こそが、顧客満足のためのサービスの実行に他なりません。

  ■ 「顧客管理」と「契約者管理」
   あなたのデータベースは契約者管理になっていないだろうか。
   そういう私も、15年前までは顧客管理というには程遠い管理内容でした。
   購入していただいた日付と商品名だけのお客様(契約者)データでした。
   当然集客(営業)活動も熱意と根性に任せたもでした。
   そんな私がなぜ顧客データの重要性を声高に叫んでいるか?

   本場米国の翻訳本、その名のとおりデータベース・マーケティングというタイトルでした。
   この本を読んだとき、もしこれが実践できたらいままでのような営業から開放されると真
   っ先に思ったのでした。
   ですから、あなたには私のようなつらくて苦しい営業活動をいつまでも続けて欲しくない
   のです。

  売上げアップには顧客情報の管理が命です。
  既存客への単価アップや顧客の流出防止は顧客満足度の向上にあり、これらを実践していくために  はお客様の履歴が必要です。そして、営業をつらくて大変な活動から開放してくれるのも顧客デー    タがあれば解決できるのです。

  今あるパソコンに顧客データを入力・管理し、営業の道
  具として活用することです。
  顧客情報の管理をしなくては売り上げアップのための計
  画も行動も、画餅であって実現不可能となってしまうから
  です。
  パソコンもデータ入力しなければただの箱に過ぎません。

   ■お客様情報収集の目的
   ここで大事なことは、何故、お客様の情報を集めるのか?情報を集めてどうするのか?
   その意味が正しく理解されないと、情報収集は長続きできません。
   最近は昔と違い「契約情報管理」ではなく「顧客情報管理」と言われています。
   お客様の「契約内容の把握、管理」だけではお客様のすべてを把握、管理しているこ
   とになりません。
   これからは一人のお客様全体に対して、一つの会社・店といったワンストップ・サービス
   の時代となってきています。
   お客様単位のサービスを考えていかなければなりません。

   お客様情報の収集と管理を考える上でもっとも大事なことは、
    ①何のために情報を収集、管理するのか(収集の目的)
    ②どんな情報を収集するのか(収集の対象)

   以上のことを自分でしっかりと確認しておくことです。
   お客様の情報の収集は、お客様を丸ごと抱え管理していくこと、他社(店)にお客様を
   奪われないよう保全すること又、更にお客様とのより良いリレーションシップ(信頼関係)
   を維持・発展させていくためです。

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