消費税増税と輸出税払い戻しに関するメモ
記事元 http://rh-guide.com/tokusyu/syohizei_usotuki2_2.html
前項で経団連が消費税増税に賛成する理由として、法人税の減税で潤うからだと紹介しました。実はもう一つ、経団連が増税推進をする、大きな理由があります。それは「輸出戻し税」による益税が見込めることです。輸出戻し税とは、企業の売り上げの内、外国への輸出では消費税は取れないので、その分の仕入れ原価に掛かる消費税分が国から還付される仕組みのことです。
例えば、自動車を作るT社では、自動車一台あたりの部品代仕入れ(下請け企業からの納入)が100万円、そして自動車の最 終販売価格が300万円だとします。仕入れ、売り上げ共に消費税が掛かりますから、実際には仕入れ代金は105万円、売上代金は315万円となります。そ してT社は、下請け会社に105万円を支払い、自らは利益(売上と仕入れの差額200万円)の消費税に当たる10万円だけを納税します。そして下請け会社 は5万円の消費税を納税します。これが、国内で自動車が販売された場合の、消費税納税の仕組みです(下図)。
輸出戻し税の問題点~大企業の益税になっている
輸出戻し税の問題点は、大企業であるT社が、本当に下請け会社に105万円を支払っているのか?という点です。還付される5万円は、大企業が下請け企業に支払い、下請け企業は「消費税」として国に収めなければいけません。しかし大企業では、往々にして下請け企業に負担を押しつけています。消費税分の5万円は、実は最初から下請け企業が自腹を 切っている(T社は100万円しか部品代を払っていない)というケースが、非常に多いと言われています。もしそうであれば、輸出戻し税は大企業は労せずし て儲かり、逆に中小企業は損をする、弱肉強食の制度に過ぎません。
消費税分の支払いカットを押しつけられていても、下請け企業は文句を言えません。大企業と下請け企業では、力関係は言わずもがなですから、下手な事を言えば今後の取引を打ち切られてしまいます。
輸出戻し税という奇天烈な制度を廃止して、輸出分に関しては最初から(下請けから部品納入する金額から)消費税を無くせば 良いと思うかも知れませんが、そう簡単には行きません。下請け企業にとっては、納品する部品が輸出分なのか国内販売分なのかは、見分けが付きません。また 消費税が掛かったり掛からなかったりすると、会計処理も面倒です。
この問題を解決する最善の方法は、消費税自体を廃止することです。消費税率が上がれば上がるほど、大企業の「益税」は増え、中小下請け企業の負担は増えていくのです。輸出戻し税の実態は、中小企業から大企業への所得移転なのですから、こんな馬鹿げた税制は即刻廃止すべきなのです。